機能訓練指導員を雇用すると期待したいのが『加算』です。
加算を端的に説明すると、介護施設の売り上げにあたるものです。
機能訓練指導員を雇用した場合に取得する代表的な加算、「個別機能訓練加算」を取得する場合で、
入所施設と通所施設の2パターンを例に挙げて機能訓練指導員を雇用することで数字的にどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。
※前提として、令和3年の介護報酬改定後の加算内容及び単位数で計算致します。
条件 ①
- 99床の特別養護老人ホーム
- 常勤専従の機能訓練指導員を1人配置
- ベッド利用率は年間97%
- 個別機能訓練加算全員取得できていると仮定
入所施設における個別機能訓練加算の単位は以下の通りです。
- 個別機能訓練加算Ⅰ (12単位/日)
- 個別機能訓練加算Ⅱ (20単位/月)
以上の条件をもとにざっくりと計算した結果は次のとおりです。
1. 個別機能訓練加算Ⅰ のみ取得 = 年間約415万円
2. 個別機能訓練加算Ⅰ + Ⅱ 取得 = 年間約437万円
機能訓練指導員の年収を370万円と仮定すると
1. 年間約45万円
2. 年間約67万円
このような数字になります。
続いて、通所介護施設の場合を計算してみます。
条件 ②
- 1日定員30名のデイサービス
- 常勤専従の機能訓練指導員を1人配置
- 非常勤専従の機能訓練指導員を1人雇用(週3日出勤・Ⅰロを算定する場合のみ計算)
- 利用率90%
- 月の営業日数20日
通所介護における個別機能訓練加算の単位は以下の通りです。
- 個別機能訓練加算Ⅰ イ (56単位/日)
- 個別機能訓練加算Ⅰ ロ (85単位/日)
- 個別機能訓練加算Ⅱ (20単位/月)
- Ⅰイ と Ⅰロ は併算不可(機能訓練指導員が2人いる日のみ取得可)
- ⅠとⅡの併算は可
以上の条件をもとにざっくりと計算した結果は次のとおりです。
1. 個別機能訓練加算Ⅰ イ のみ取得 = 年間約360万円
2. 個別機能訓練加算Ⅰ イを週3日 ・ Ⅰ ロを週2日取得で = 年間約438万円
3. 個別機能訓練加算Ⅰ イ + Ⅱ を取得 = 年間約490万円
4. 個別機能訓練加算Ⅰ イを週3日 ・ Ⅰ ロを週2日 + Ⅱ を取得 = 年間約570万円
常勤専従の機能訓練指導員の年収を370万円
非常勤専従の機能訓練指導員の時給を1,500円 と仮定すると
1. 年間約10万円マイナス
2. 年間約105万円のマイナス
3. 年間約120万円
4. 年間約27万円
このような数字になります。
ざっくりとした計算ではありますが、
機能訓練指導員を雇用して事業所の利益に繋げたいと考えるのであれば、
入所でも通所でも、個別機能訓練加算Ⅱの取得は必須なのかもしれませんね。
機能訓練指導員を雇用するメリットは、数字的なものだけでなく
・利用者の満足度向上
・事業所の自立支援促進
・ケアの質向上
などなど、介護サービスに様々な付加価値を提供することができます。
また、機能訓練指導員は理学療法士や柔道整復師だけでなく、
看護師や准看護師も対象資格となっているため、
やり方次第では人件費をできる限り抑えつつ、個別機能訓練加算を算定することもできます。
そのためにも、加算の要件をしっかりと理解することが重要です。
加算算定に必要な書類を準備するのも機能訓練指導員の仕事
個別機能訓練計画書や生活機能チェックシートなどは、機能訓練指導員以外が作成してもよいのですが、
計画の立案やアセスメントは機能訓練指導員が実施しなくてはなりません。
計画書にはICFの知識が必要であったり、生活機能チェックシートにはバーセルインデックスの要素があったり、
リハビリ専門職以外の方には、見慣れない内容のものが多いため、しっかりと学び、漏れのない書類を準備することが重要です。